今回は「語彙力」について書いていこうと思う。


現代文の評論においては、僕らが日常使う言葉とは全く異なる言葉が使われているのは周知の事実である。僕たちが基本的に行う言語活動は「日常会話」に他ならないからだ。何気ない雑談でもそうだし、漫画で使われる言葉も基本的には「日常会話」かその延長でしかない。

前回の記事でも述べた通り、評論文は基本的に研究者や専門家などのその道に精通した人物が自分の意見を書いているものである。

そして専門性の高い話題・テーマであれば、それを説明するために使う言葉も専門性が増してくる

例えば、遺伝子研究に関する文章であれば、生物学をはじめとする用語を使われるし、宗教に関する文章であれば、人類学・文化性の高い用語が用いられる。

それはなぜかというと、評論を書く人物が誰を対象にしてその文章を書いているのかを考えるとわかりやすい。彼らは自身の専門の研究に対して、同じように理解のある人物に対して文章を書いている。世の中に出回っている論文でも基本的には自身の研究と同じカテゴリーを扱う雑誌(科学研究であればサイエンス誌など)にしか載っていなかったり、自身が所属する研究機関のコミュニティ内に論文を書き上げる。自身の研究成果を理解できるのは同じ研究者に他ならない。

そういった専門性の高い話題を持ち出す場合、それに付随する専門性の高い用語というのは一つの短い言葉で、ある程度の具体的な意味を含有しているため、同じ話題についての識者に対して簡潔な説明ができる、というのが一番大きな理由だといえる。


受験における現代文もいわずもがな、専門性の高い文章が出題されることは珍しくはない。そういった意味でも、現代文の語彙力を鍛えることは、単純に文章を読めるようになるためには必要な勉強だといえる

例えば、「アイデンティティ」や「相対的」や「抽象」「形而上」といった言葉。

ただし、現代文の語彙というのは暗記するものではない

現代文の語彙は古文単語同様、「どういう感じなのか」という事の方が重要だ。もっと言えば、「具体的にどういうことなのか」ということを自身のイメージで理解しなくてはならない。これは日本語の性質も関係しているのだが、語彙を勉強するときは基本的に「辞書的な意味」が先に来る。そのため、文章中において「どのような意味で使われているのか」ということが、語彙の勉強だけでは非常にわかりにくい。

例えば、たった今書いた「具体的」という言葉。辞書では「物事の形がはっきりしているさま」という説明がなされるが、この「具体的」という言葉はこれだけの理解では分かりにくい場合がある。

これは「例えば」や「もう少し説明すると」などの言葉で代用可能な言葉で、「具体的にどういうことですか?」と聞かれた場合、例えなどを出して、もう少し説明を加えてやればいい。

このように必ずしも辞書的な意味を勉強するだけでは語彙力はなかなか身に付かない

どういうような状況・物事・状態に対してその言葉を用いるのか、ということを意識してきちんと理解することまで含めて語彙の勉強になる。

河合出版の「ことばはチカラだ!」という参考書は現代文の語彙を勉強する上でのポイントを良くおさえているので参考書選びで迷ったらまずはこれで学習してみよう。特にこれから現代文を勉強する人にはオススメだ。こういった参考書を読んで「ああ現代文の語彙ってこういう理解が必要なんだな」という掴みをまずは身に着けて欲しい

また、評論文は基本的に筆者は物事を分かるように説明しなければならないと前回の記事で書いた。つまり、大学入試の問題は基本的に難易度の差はあれど文中に見慣れない言葉があってもそれを理解できるような内容になっている。これは、よく聞く「抽象」と「具体」の関係だが、その言葉自体はおいておいて、Z会の


現代文キーワード読解[改訂版]

がこれにあたる、難易度は勉強したての人には難しいかもしれないが、短い評論文の抜粋を用いて現代文の学習を語彙力強化と一緒にできるという優れもの。個人的には


ことばはちからダ!現代文キーワード―入試現代文最重要キーワード20 (河合塾SERIES)

現代文の噛み砕き方を学習した後に是非ともやってほしい。

別のベストセラーでは桐原書店の


読解を深める 現代文単語〈評論・小説〉改訂版

もオススメ。小説の用語はともかく、評論文におけるものの見方をとても詳しく解説している参考書だ。現代文語彙の参考書も最近は増えてきたが、上の3つは中でも自信をもってオススメできる参考書。

現代文の勉強を始めたばかりの人は「ことばはチカラだ!」、その後は「読解を深める現代文単語<評論・小説>」。

「現代文キーワード読解」は語彙の勉強にもなるが、実際の入試に出た文章を使っており、やや読み物としての要素が強いため、現代文の成績が少し安定してきたら購入するといいだろう。現代文の読解は問題演習に大きく依存する部分があるのでそういうデメリットを解消してくれるのがこの参考書だと思っていい。

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