夏休みも終わり、夏期講習を終え、受験シーズンも折り返しに突入したわけだがこの時期になると多くの人が耳にするのが「英語は音読」という情報である。
結論から言ってしまえば、音読は有効。
だが、音読すればいいというものではない。もちろん音読にもやり方はある。
音読は効果がすごい!という情報だけが独り歩きしてしまって、その具体的なやり方を載せる能力がない著者が書いた本というものが世の中に出回っているから「音読は効果があるのか?」という疑問が持たれてしまっているのだ。
まず、音読以前に「素読」というものを知っているだろうか。
これは、まだ識字率が低い、日本史でいえば寺子屋が各地に設立され、教育の開花時代に行われていた勉強法である。
読んで字のごとく、何も考えないで読む。
現代文の読解力の重要性と鍛え方
で述べた、「読解力を必要としない読み方」のことだ。
当時は、漢字で書かれた文章が主に使われていたらしいが、素読を繰り返しただけではあるが、子供たちの能力は確かに上昇していたらしい。
これは憶測だが、識字率が低いということは、教科書に出てくる字が全く読めないが、読み方だけ教えてもらい、それを繰り返し読むことによって言語としての文字を体得したのではないかと思う。
これは僕らが英語(他言語)学習において行っている学習プロセスと全く同じである。英語の読み方を学び、覚えようと繰り返し学習し、いつの間にか体得している。そのような状況を作り出す勉強こそが、音読の本質なのである。
したがって、音読学習における基本的な原則の一つとして、「繰り返す」ことが挙げられる。英単語でも繰り返しアウトプットすることが重要、というのはこの記事でも書いた通りだ。英語学習において、英語を話さざるを得ない状況に身を置くと繰り返し英語を使うようになることと理屈は同じである。
だが、これは昔の話である。今の時代は完全に国際化が進んでおり、もはや素読のような勉強法でなにかを習得するというのは難しいだろう。言語を読むの次のステップは当然、「聞く」ことになるわけだ。
この聞く、もっというと聞こえるようになるための手段としての音読も有効。
具体的には「シャドーイング」。聞こえた音声の後に同じ音声を自分で発音・書き出してみる。これは、「何が聞こえたか」を正確に把握するためのトレーニングで、大人がやるビジネス用英会話学習にも用いられている。
基本的には音読による「話す」と「聞く」の両側面から英語力を鍛えることが出来るため、音読学習の効果は大きいといわれているのである。
そして、「読む」力、すなわち聞いた英語を即座に日本語に変換できる力との三位一体による効果こそ、英語学習の根幹と言えるだろう。これが長文への応用力となる。
よく巷では「英語を英語のまま理解する」みたいな文言が飛び交っているが、それができていれば大学受験の英語で苦労しないという話だ。
受験生のうちはこの訓練を行って早く読む、正確に聞くトレーニングをするだけでいい。そこから先は大学に行った後にやればいい。
音読をするときのポイントとしては「文章を読みながらその意味まで意識しながら音読する」というのが原則となる。これは英語→日本語への変換作業に特化しているため、入試では非常に有効な反面、純粋なリスニング対策とはなり得ないので、CD付の英語教材を持っている人は上記のシャドーイングを含めて音読するといいだろう。
究極的には英語に触れる絶対量を増やす、英語を日頃から使うのが最適解だが、さっきも言った通り、英語だけ勉強しているわけではないので、本格的な英語学習は入学した後にやればよい。